■服用時間■
ほとんどの漢方薬は食間または食前に服用されます。食間・食前は空腹のため薬の吸収率が良く、効果が出やすいからです。
食間は
食事2時間前、食前は
食事30分前が目安です。胃腸に対して刺激性のある薬物など、食後に服用すべき漢方薬もあります。また、目的によっては食事に関係なく一定の時間毎に服用を指示される場合や、就寝前や発作前といった服用方法を指示されることもあります。
■服用方法■
一般に、漢方薬は
温湯とともに服用します。冷えた煎薬は温めることが必要です。
ただし、例外もあります。例えば、嘔吐が激しく服用した薬さえ吐き出してしまう場合は冷水、または冷やして服用して頂きます。病状や漢方薬が使われる目的によって、適当な服用時間、適切な服用方法が異なります。自分に一番合った飲み方する為にも、漢方の専門家にお尋ね下さい。
■漢方の種類■

「漢方は煎じて飲むのが面倒くさい」と言われたりしますが、煎じるものばかりではありません。
最近では、より手軽な顆粒剤や錠剤、カプセル剤なども出回っています。保健調剤ではエキス剤がよく使用されていますが、他にも様々な剤形があります。どのタイプの漢方薬を選ぶかは、生活スタイルや病状を考え合わせて、患者さんに合ったものを選択します。
近年では手軽さからエキス顆粒やエキス錠が好まれる傾向にありますが、病状に合わせて煎剤や丸剤をお勧めする事もあります。エキス顆粒と煎剤どちらを選ぶかは、コーヒーを飲む際に
インスタントのコーヒー(エキス顆粒)を飲むか、豆から挽いたコーヒー(煎剤)を飲むか、どちらが飲みたいとという選択にも似ています。
今回は主な6種類を紹介します。
…エキス剤…

製剤技術の進歩により、近年に新しく出来た剤形です。煎じ液を濃縮した後、凍結乾燥して作られます。錠剤や顆粒剤、カプセル剤などがあります。一般の薬局・薬店で販売している漢方薬のほどんどがこのタイプです。
…煎剤…

湯剤ともいいます。土瓶などに水を入れて加熱し、生薬の成分を抽出したものです。体内での吸収が速やかで、急性病に適しています。【葛根湯(かっこんとう】【小青竜湯(しょうせいりゅうとう)】など。暖かいスープの状態で飲むのがもっとも効果的です。
…丸剤…

散剤を蜂蜜などで丸く固めた物です。吸収が緩慢で持続性があります。※賦形剤(ふけいざい)の違いにより、蜜丸、水丸、糊丸、濃縮丸などの種類があります。【六味丸(ろくみがん)】【桂枝茯苓散(けいしぶくりょうさん)】
…酒剤…
一般的には薬酒、古来は酒醴(あま酒の意味)といわれていました。生薬の成分を酒で抽出します。体内での吸収がよく、慢性病や養生、また外用にも使われます。
…散剤…

生薬を粉砕して混合したもので、芳香性の生薬(香りに薬効を期待できる生薬)を内服する場合に有効な剤形。少量で効果があります。水で抽出されない成分を含む処方には散剤が適しています。外用にも使われます。【五苓散(ごれいさん)】【当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)】など。
…膏剤(こうざい)…

生薬を水や植物油で煎じ、煎汁を濃縮して膏にしたもので、内服用・外用があります。蜂蜜や砂糖を基材にしているものは、まるでジャムかピーナッツバターのようで、口当たりも良く滑らかです。外用のため膏剤は塗り薬の元祖です。