● おねしょ(夜尿症)の西洋医学的な分析と治療 ●
おねしょには、主に多尿型(ぐっしょり型)、膀胱型(ちょっぴり型)、解離型、混合型といった四つのタイプがあります。
■多尿型(ぐっしょり型)
一晩の尿量が多く250CC以上です。(正常は200CC以下)
このタイプのお子さんは比較的身長が低く、二次性徴(思春期の徴候)も
遅れがちで、習慣的に水分をがぶ飲みしていることも目立ちます。
■膀胱型(ちょっぴり型)
昼間、おしっこをぎりぎりまで我慢させたときの尿量(機能性膀胱容量)が、
6〜7歳で150cc以下、8〜9歳で200cc以下、10歳以上で250cc以下の場合
をいいます。おしっこを溜める力が弱いのが特徴です。
このタイプのお子さんは日中もおしっこが近く、冷え性を伴っている事が
多いようです。
また、日中パンツにおしっこをちびってしまう昼間遺尿(昼尿症、尿失禁)を
伴っていることもあります。
■解離型(かいりがた)
解離型というのは、日中のがまん尿(機能的膀胱容量)が充分に溜められ、
一晩の尿量も正常(200cc以下)であるにもかかわらず、寝てしまうと勝手に
膀胱が収縮して夜尿をしてしまうというものです。

難治性の夜尿症とされ、生活指導や薬物療法だけ
では改善しにくいとも言われています。
■混合型
夜間の尿量が250cc以上と多く、加えてがまん尿
(機能的膀胱容量)が小さすぎる場合で、もっとも
重症なタイプといえます。
● おねしょ(夜尿症)の薬 ●
おねしょの治療薬としては以下のものがあります。
■多尿型(ぐっしょり型)
・三環系抗うつ薬(アナフラニール、トフラニール、トリプタノールなど)
上記の薬は抗利尿ホルモンの分泌を促す作用があります。
いずれも就寝前に飲みます。副作用としては食欲不振、悪心、嘔吐といった
消化器症状と不眠等が代表的で、これらの症状が見られた場合には直ちに
服用を中止します。
・DDAVP点鼻療法(酢酸デスモプレシン点鼻薬)
濃い尿が多量に出てしまうおねしょに使われます。体内に入ると脳下垂体後葉
から分泌される尿量を調節するホルモン(バスプレシン)としての働きを発揮
します。就寝直前に鼻粘膜から吸収させる治療です。
水分の摂取リズムを守らずに夕方から水分をがぶ飲みしてこの点鼻薬を用いると、
水中毒症状(浮腫、頭痛、けいれん)といった副作用が出るという報告があります。
■膀胱型(ちょっぴり型)
膀胱型の内服薬は、バップフォーとポラキスが代表的です。
尿失禁治療薬として開発された薬で、おねしょの保険適応はありませんが、膀胱を
大きくして溜めら、おしっこの量を多くしてくれます。成人に対する副作用としては
口渇(口が乾く)、目が乾く、排尿困難等が報告されていますが、小児においては
副作用はほとんど見られません。ときにブラダロンやプロバンサインを用いること
もあります。一部では膀胱水圧拡張術も行われてます。
■混合型

多尿型と膀胱型とが合併している混合型に対しては、
この二つのタイプの薬を併用して治療します。
■解離型(かいりがた)
解離型は生活指導や薬物療法だけでは改善しにくい
特徴があります。干渉低周波による電気刺激療法や
夜尿アラームによる条件付け療法を活用します。
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