◆ドライシンドローム(乾燥症候群)ってなぁに?
Q:湿気の多い日本で、どうして体が乾いてくるの?
現代人はストレスや運動不足のため体内に熱がこもり、その熱によって
体に乾燥が現れやすい状況にあります。
更に、エアコンで皮膚の乾燥を助長する、またパソコンやテレビの視聴で
目を酷使し、口呼吸の増大やよく噛まないことで唾液が不足する、欧米型
食生活の増加、女性の社会進出によるホルモン分泌の変化などが理由に
あげられます。
Q:どこが乾きやすいの?
「かわき」から私たちの体を守ってくれるものは潤いです。
その潤いを作って分泌する器官を外分泌腺といいます。
ドライシンドロームの4つの乾燥症状(口、目、皮膚、膣の乾き)
は唾液腺、涙腺、汗腺および膣の分泌腺の働きと密接に関係しています。
漢方では、体を守る潤いを「陰分(いんぶん)」または「津液(しんえき」
と呼び、体の乾燥状態を「陰虚」や「津液不足」と解釈して病態の改善に
臨みます。
唾液の分泌が減り、口の中が乾燥する症状をいいます。
□口の中がネバネバして不快
□話しにくい
□飲み込みが難しい
□虫歯になりやすい
□口臭が気になる
□味がわかりにくい
□声がかすれる
□ぐっすり眠れない
□口の中に悪い菌が増え、感染症にかかりやすくなる
□入れ歯が入れにくい
□のどがいつもイガイガする
□胃酸が少ない
□口の中が痛い(口内炎・口角炎・口唇炎・舌炎など)
など、毎日の生活の中で口の中が不快になって困ったら、
あなたはドライマウスかもしれません。
◆西洋医学的原因
シェーグレン症候群、薬の副作用、放射線治療の副作用、ストレス、筋力低下、
腎不全、唾液腺の病気、脱水や下痢、糖尿病、口呼吸、加齢による
唾液腺の萎縮などが考えられます。
◆唾液のはたらきと中医学(漢方)
唾液は、健康な成人で1日平均1〜1.5リットルも分泌されます。
食事中はもちろん、食べていないときにも睡眠中にも分泌されています。
唾液は単なる水分ではありません。口の中を潤すだけでなく、
全身の健康を維持するために私たちの生活を支える大切な成分を
たくさん含んでいます。
漢方では、この潤いを「陰分」と呼び、単なる水分とは明確に区別される
と同時に、その独特な補充方法が確立されています。
涙腺からの涙の分泌量の減少、涙に含まれる成分(脂分など)の質的変化
によって、目の表面の健康が損なわれる状態をいいます。
□目がかわく
□10秒以上目を開けていられない
□目がゴロゴロする
□目がかすむ
□目やにが出やすい
□目がヒリヒリ痛い・かゆい・熱い・重いなどの違和感がある
などが思い当たれば、ドライアイの可能性が高いといわれます。
また、目が乾くことによって目の表面が傷つきやすくなることで目の病気に
かかりやすくなります。
◆西洋医学的原因

加齢、シェーグレン症候群、ストレス、アレルギー性結膜炎
などの内部要因や、紫外線、パソコン・テレビなど
目の酷使、室内の乾燥、コンタクトレンズの使用、
空気の汚れなどの外部要因が考えられます。
◆涙のはたらき
涙は眼球にうるおいをもたらすことはもちろん、
細菌から目を守ったり、ごみやほこりを洗い流すなど大切な
役割をしています。涙が出るのは悲しいときばかりでは
ありません。
睡眠中をのぞけば、1日2〜3ミリリットルが常に分泌されています。
涙は水を飲んでも増えません。涙は特殊な水分です。
◆中医学では
漢方では、涙の不足する原因を陰分と血分の不足と考えます。
(「陰虚」「血虚」)
「かわき」の症状を単なる目の変化としてだけでなく、体から
のお知らせのひとつととらえて治療に取り組みますので、
「疲れがとれた」「頻尿が治った」「肌が潤った」など
全身症状が改善する例が多いのも漢方治療の特徴です。
一般的にいわれる乾燥肌です。皮膚表面の水分や皮脂の
分泌が不足して、皮膚が乾く症状をいいます。
□乾燥肌
□体がかゆい
□肌がカサカサする
□肌をこすると白い粉がおちる
□鏡をのぞくと小じわがたくさんみえる
また、お肌のうるおい不足から皮膚表面のバリア機能が低下することで
アトピー性皮膚炎の悪化などが現れることもあります。
◆西洋医学的原因
加齢、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、遺伝的体質(さめ肌など)
シェーグレン症候群、栄養不足など。
◆皮膚のはたらき
皮膚は、外界から体を守る一番最初の砦です。
皮膚の乾燥は外見上の見栄えだけでなく、
体の防衛力の低下をもたらす可能性もあります。
◆中医学(漢方)では
漢方では、肺や大腸を皮膚と切り離して考えることの出来ない
重要な関連性のある仲間ととらえます。
皮膚の乾きは、肺や大腸の乾燥状態からのお知らせと解釈する
こともあります。肌の乾きやかゆみに伴って、空咳がなかなか
治らない、便秘がちなどの症状が加われば漢方治療をおすすめ
します。
また、漢方では肌の乾燥を「血虚」「陰虚」「脾虚」「オ血」の病態が
複雑にからみ合った結果ととらえます。
お肌は内臓の鏡です。
まずは、体の中からお肌を整えてみませんか。
エストロゲンの分泌量が減って、膣周辺の粘膜が乾く症状をいいます。
□膣周辺がヒリヒリ痛い
□性交時に痛い
□ときどき膣炎になる
◆西洋医学的原因
加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下、
過度のストレスやダイエット、シェーグレン症候群など。
加齢に伴い性ホルモンの分泌が低下することで、
体は「更年期」と呼ばれる状態を向かえます。
このときホルモンバランスの崩れから、
人によってはさまざまなトラブル(更年期障害)が
生じることがあります。ドライバジャナもそのひとつです。
◆中医学(漢方)では
漢方では、ドライバジャナを「血虚」または「陰虚」と解釈し、
多くの場合はその原因が「腎虚」にあると考えます。
「腎」には生命の根源のエネルギーが宿るとされ、

加齢による全身機能の衰えも「腎」の消耗ととらえます。
「腎」を補うことで体の若返りを図ることは、漢方の得意
分野でもあります。
また、過度のダイエットやシェーグレン症候群
にも「腎虚」を考慮すべき状態があり、そうした場合は「腎」
を補うことで病態を改善させる方法もとられます。
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